ショット・ミュージック新刊
《ゴールデン・スランバー》&《枯葉》

ゴールデン・スランバー

ピアノのための
1969/1992

ジョン・レノン & ポール・マッカートニー
編曲:武満徹

高橋アキに献呈

Golden Slumbers

for piano

John Lennon & Paul McCartney
Arranged by Toru Takemitsu

To Aki Takahashi

解説

武満は阪神ファンだった。「前衛は阪神」という分かるような分からないような理由だった。その武満はビートルズのなかで毒のあるねじれた前衛志向のジョンより、ストレートに耳に語りかけるポールの歌を気に入っていた。尊敬する作曲家にポール・マッカートニーを挙げたこともあるし、1977年の《ギターのための12の歌》ですでにポールの《ミッシェル》や《ヘイ・ジュード》などを編曲している。これは単純に好みの問題かもしれないが、音楽に対する武満の開かれた考え方は、娯楽映画に関する言葉から推察することができる。

「『僕はああいう映画は見ない』という人は、僕は嫌いなんだね。決して芸術的に高い映画だけが映画を支えているのではなくて、そういうのも一緒にあるってことが、ちょっといいところなんですね。映画の芸術としての新しさというか、可能性でもあると」(武満)

映画を音楽に変えればいい。武満はすぐれたバランス感覚の持ち主であり、なによりポピュラー音楽を素朴に愛していた。ポールの滑らかな歌は、苦みばしったジョンの歌よりも武満にとって遠い憧れとしてあったのかもしれない。

《ゴールデン・スランバー》は、高橋アキの「ハイパー・ミュージック レノン&マッカートニー」の録音シリーズの完結篇のために編曲された(1992年8月10日録音初演)。曲はポールがイギリスに古くから伝わる子守唄(トーマス・デッカー詩による『ゴールデン・スランバーズ・キッス・ユア・アイズ』)をきいて、自分なりに作り変えた歌。武満は歌を夢見るような音のアラベスクに乗せ、ゆさぶりをかけながら美しく彩っている。

解説転載元:
アンサンブル タケミツ『武満徹 響きの海 室内楽全集 5』KING RECORDS[KICC 589~90]同梱ブックレット内、三橋圭介氏による曲目解説(P.13)


出版番号:SJ 1188
8ページ/菊倍判/中綴じ製本
ISBN: 978-4-89066-492-4
ISMN: M-65001-268-3
2016年10月25日発売
本体価格:600円(税別)
発行:ショット・ミュージック株式会社

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枯葉

弦楽四重奏のための
1945/1993

ジョゼフ・コスマ
編曲:武満徹

Les Feuilles mortes

for string quartet

Joseph Kosma
Arranged by Toru Takemitsu

初演:1993年9月23日 ― 八ヶ岳高原音楽祭(長野) ― 豊嶋泰嗣(vn)、深山尚久(vn)、小林秀子(va)、田中雅弘(vc)

解説

チャイコフスキーのピアノ曲を編曲した《秋の歌》同様、1993年の八ヶ岳高原音楽祭〈秋の歌〜クラシックやポップスの境界を越えて〉(音楽監督:武満徹)のために編曲された。演奏されたのは初日のソワレ・コンサート、その日は八ヶ岳高原音楽祭祝祭カルテットのお披露目コンサートで、武満の《ア・ウェイ・ア・ローン》とベートーヴェンの弦楽四重奏曲第2番を取り上げ、《枯葉》はたしかアンコール・ピースだった。『音楽芸術』に音楽祭のレポートを書いたが、アンコールだったためか、《枯葉》については一言も触れていない。しかし、そのとき武満、ベートーヴェン、J. コスマの取り合わせに、シャンソンとの出会いから始まり、晩年にベートーヴェンを再発見した、いかにも武満らしい境界越えを感じていた。だからこそ既成の枠組みに囚われない「世界の武満」となりえたのだろう。

編曲は歌のないカルテット版で、武満らしい弦の処理が見られる。湯浅譲二がかつて武満に使った表現を借りれば、「ほつれ毛が頬を撫でるような、末梢神経的な肉感性」に通じるもので、震える声でメロディを歌い尽くし、その背後で身悶えるような耽美が渦巻いている。

解説転載元:
アンサンブル タケミツ『武満徹 響きの海 室内楽全集 3』KING RECORDS[KICC 585~6]同梱ブックレット内、三橋圭介氏による曲目解説(P.11)


出版番号:SJ 1189
スコア&パート譜セット
スコア12ページ/菊倍判/中綴じ製本
ISBN: 978-4-89066-493-1
ISMN: M-65001-269-0
2016年11月25日発売
本体価格:2,900円(税別)
発行:ショット・ミュージック株式会社

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